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第 23 回

入賞作品

学校賞

審査講評

入賞作品

最優秀賞

雪が溶けるように春にはいなくなるひとにもとどけ、とどけはなびら 酒井 拓夢(静岡県)

優秀賞

恋人が「いい雨だね。」と微笑んでふいにリズムを持つ雨の音 田尻 由希子(三重県)
くちづけの角度それからさよならと手を振る角度全てがあなたで 野田 鮎子(東京都)
大好きと言えない分だけ打ち込んだ竹刀の音が響く道場 尾上 龍馬(長崎県)

秀逸

「ただいま」の前に言おうと「おかえり」を用意して待つ夜勤の妻を 渡辺 廣之 (大阪府)
こんなにも楽しかったかブランコはすれ違う君すれ違う君 田曽 真由美(岡山県)
放課後に肩を並べて君と行くコンビニだってテーマパークだ 平林 やぶき(新潟県)
どちらかをひけばたやすくほどけゆく蝶々結びのようなふたりね 宮里 真依(沖縄県)
放課後に道路にうつる影を見て意外と違う二人の身長 下迫 創太(愛媛県)
最後の日失うべきは君じゃなく棚にあげてたぼくのプライド 林 青空(大阪府)
あと5分待つのが限度タンポポの綿毛に私なりそうだから 合志 紗里衣(神奈川県)
向かいから自転車を押すきみがくる畑のキャベツわさわさと鳴る 福山 京子(神奈川県)
恋人の「北ウイング」は聴き飽きて湿気たマッチを箱ごと捨てる 星野 香織(千葉県)
トルストイ読む横顔は垢抜けずああ誰もこの良さに気付くな 石山 晴菜(愛媛県)

佳作

「さよなら」が少し寂しい夕暮れに「またね」をくれた君が手を振る 鈴木 紫音(栃木県)
指跡を水蜜桃につけながら遠いあなたを憎みたい夏 引野 直子(兵庫県)
濃紺の海も掬えば透明で気のせいじゃない君への好意 屋宜 爽治(東京都)
君のこと大好きだから覚えたのそこは尺骨茎状突起 山田 みほ(福井県)
封筒に入る体であったなら手紙の数だけあなたに会える 壹岐 康生(宮崎県)
観覧車のてっぺんで聞く「さようなら」街の夜景が海まで滲む 佐藤 美弥子(福島県)
「アイシテル」手旗信号送られて元特攻の君に嫁げり 河野 ひさ江(千葉県)
福鉄で帰る放課後二人きり距離を詰めたい人一人分 長谷川 侑希(福井県)
二人乗りする時錆びた自転車の鳴く音二人で聴いていた夏 星 愛日(新潟県)
告白に一つ首ふる君の事机の上の赤べこはじく 黒川 海翔(新潟県)
水切りを君と数えた河川敷コンクリートになるあの夏の日も 近藤 啓太(新潟県)
指先も染める藍染め藍の色爪の中まで君に染まって 生野 帆乃花(新潟県)
エルガーの「愛の挨拶」弾く指がリフレインする昨日の恋を 石井 くるみ(新潟県)
ぼくなりに大事にしてたでも君は雪の荒野へ攫われたがる 尾内 甲太郎(静岡県)
この恋は終わらないって思ってた頃のあけびが痛い。まぶしい 渡邉 美愛(愛知県)

入選

映画化をしてもらうなら絶対にラストシーンにいてほしいひと 澁谷 朝夏(神奈川県)
笑いじわ私のために作ってよ蜂蜜のように微笑むあなた 市原 利恵(埼玉県)
すぐ行くと言つたよ海の見ゆる辺で三十年も経つてしまった 夏目 雅代(東京都)
一年に一度限りじゃ足りません、なので天の川埋め立てました 中山 花(大阪府)
自転車の補助輪はずすようにしてサヨナラをする君といた夏 新井 聡子(埼玉県)
恋すると綺麗になると言うけれど綺麗な母はあまり見たくない 立石 結菜(大阪府)
好きなとこ、たとえばまずは喉仏 だめだ31字じゃ足りない 小林 花綾(北海道)
レコードの傷ある所で音が飛ぶ君の記憶に僕はいますか 舘 栄一(福井県)
本棚のスキマに見える君の顔手に取る本のバッハがわらう 横尾 奏多(大阪府)
何気ない仕草がスローに見えたならきっと私は君に恋する 大久保 李南(福井県)
ハンドルをぎゅっと握った初心者の彼は私の手には触れない 金子 剛(熊本県)
君と見た花火の横に飛んでいた小さく光る静かな蛍 末永 旺佑(千葉県)
ひと夏の恋が終わった終電の車内に忘れた日傘のように 木目田 美咲(神奈川県)
教室で君から貰った不織布のマスクは今日も胸のポケット 岩崎 壮太(新潟県)
艶やかな音を出せっていう顧問「恋すればいい」僕はつぶやく 長澤 和哉(新潟県)
雨をよけパーカーを広げた秋の日の君の香りが私を包む 桐生 彩羽(新潟県)
シンデレラ私は黒いローファーで迎えに来るはず君を待ってる 中倉 茉咲(新潟県)
夏祭りヨーヨーのゴム切れた時こうだったって彼を思った 木村 まり杏(新潟県)
告白のパワースポット屋上はどの学校も立入禁止 戸川 鈴花(広島県)
帰り道つなぐあなたの大きな手素振りでできたマメが増えてる 桑原 亜蘭 (熊本県)
夏の雨きつねの嫁入り空のにじ見上げる君とぬれた制服 富永 美都(沖縄県)
踏切の警報音が心音のようでやっぱりあなたが好きだ 秋田 花奈瑠(茨城県)
話したら壊れてしまうぼくたちを夕陽がつつむ山の辺の駅 髙塚 潤(静岡県)
水銀があふれるような夏でしたきみの遠くで鳴き終わる蝉 狩野 慶太(東京都)
「だぃ、s、きだよ」電波が悪くて聞こえない神様そんなに嫉妬しないで 橋本 祥之介(大阪府)
佐藤から佐藤にかわる今日のわれ佐の書き順を変えて届ける 古山 彩夏(東京都)
アルバムを見ると昔の君がいる「一緒に遊ぼ」が君との出会い 細田 陽彦(兵庫県)
君のことあとちょっとだけ信じたい赤く染まったアネモネと空 渡邉 佳穂(埼玉県)
にわか雨干しっぱなしの洗濯物みたいな2人の暮らしだったね 米田 健斗(大阪府)
あなたとのおとぎ話を始めよう千年先まで想いつないで 野村 卓矢(神奈川県)

学校賞

最優秀学校賞

東京学館新潟高等学校

優秀学校賞

福井県立武生商工高等学校

学校奨励賞

長崎県立上五島高等学校

千葉県立四街道高等学校

沖縄県立宜野湾高等学校

審査講評

第23回 万葉の里 あなたを想う恋のうた 本審査会