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第 15 回(2012年)

入賞作品

学校賞

審査講評

入賞作品

最優秀賞

仲直りのきっかけにするはずだったアップルパイを焦がしてしまう 岡部 美穂 (東京都)

優秀賞

雨宿り君に近づく勇気なく二人の間にぬれた自転車 一色 紀乃 (福井県)
消し去れぬ思い紡いだ封筒をポストに落とせば柔らかな音 高松 優衣 (広島県)
粉雪をはらってくれた手のひらに機械油のほのかな匂い 水谷 あづさ (奈良県)

秀逸

ないていた。太陽が照る空の下私の恋もツクツクボウシ 鉢嶺 宗洋 (沖縄県)
つらいのはあなたが帰ったその夜にコップに残した青い歯ブラシ 小高 夏美 (奈良県)
雨上がり「好き」の言葉が橋渡り君との距離はあともう少し 牧野 あやめ (北海道)
理を好む君のブラックコーヒーに入れたミルクが渦巻いている 丸岡 里美 (福井県)
砂をもて築きし城は海に向き君、うたかたのキングとなりぬ 西岡 徳江 (アメリカ)
恋というゆがみに右目がとらわれて頭が痛いきみにあいたい 坂下 千暖 (神奈川県)
透明な下敷き越しに君を見て「わたしも好きよ」とフキダシ作る 坂本 昇太 (福井県)
観覧車一番上の景色から君を見つけてゆっくりになる 辻 渚沙 (福井県)
群青のジーンズに付いた砂の粒君との夏をそのままにして 徳野 紀恵 (カナダ)
クレヨンの白色だけが減るような恋をしていた告げられずいた さとう はな (カナダ)

佳作

七夕も昼から君に会いに行く梅雨明けきらぬ紫陽花の道 倉田 紫乃 (東京都)
 「また明日」別れて歩く帰り道明日を待ちわび赤とんぼ追う 髙橋 佳乃子 (広島県)
金魚鉢揺れる小さなしっぽより「きれい」と笑う君を見ていた 竹山 瑞生 (長崎県)
ペンの色色んな色があるように君の「貸して」で色づく時間 大塚 なつ美 (長崎県)
好きという二文字いつも右上がり愛しい癖字インクの香り 髙野 夏実 (神奈川県)
ふと見るとレンズに私が映ってる眼鏡の奥はどこを見てるの? 大山 唯 (福井県)
グラウンド小石で綴ったスキの文字地球に書いた君への想い 楠木 舞 (福井県)
学校祭ステージに立つ君を見て歓声にまぎれて好きと叫ぶ 前川 遥 (福井県)
大輪の打ち上げ花火消えしのち夜の飛行機きみと数える 石橋 佳の子 (千葉県)
樹のように私の言葉を呑み込んで若葉のように柔らかな人 平田 敬子 (山口県)
坂道を転げるように日は落ちて君待つぼくの影は伸び切る 斎藤 三津雄 (東京都)
プール後のかすかな塩素の匂いさえ好きと気づいた太陽の下で 道脇 萌 (東京都)
山隔て暮らせる君にこの大き虹の片足届いてゐるか 村田 一広 (山梨県)
逢えた日は三つ編みほどき閉じ込めた香りと想いに包まれて寝る 山﨑 美樹 (北海道)
好きだとか愛してるとかは分からないラムネの玉がコトリと下る 富樫 美奈見 (北海道)

入選

八時まで待てたんだから次は九時吐く息ばかりのマラソンのやう 森実 真紀 (東京都)
メールだとわがままになるどうしても月の光で文を書きます 古賀 由美子 (佐賀県)
「寒いなぁ」「寒いねぇ」から始まった2人で紡ぐ白いおしゃべり 牧 しづか (福井県)
君と会うたびに積分されてゆく紅茶の香りとスローな時間 仲村 一郎 (東京都)
暮れなずみとけゆく街のただなかで君の背のみが輪郭を持つ 東 千晶 (大阪府)
追いかけて届かず遠く光るもの君の笑顔と夏の夜の月 中谷 睦 (大阪府)
胸に湧く文語の恋をイマドキの口語に直し君に伝える 川島 裕子 (徳島県)
前の席あの子の髪がクーラーでゆらゆら揺れて心が揺れた 鈴木 綾乃 (長崎県)
帰国後の君を想ひて書く手紙薔薇の絵柄の切手を貼りぬ 伊藤 実那 (東京都)
やって来た月に一度の大勝負次こそ行くぞ隣の席へ 小嶋 宏基 (石川県)
ゆっくりとつのる思いよ進んでけ君に会いに行く世田谷線 島村 勇輝 (東京都)
肩ふれて沢みちゆけば二つ三つ蛍は君の髪に光りぬ 旭 千代 (千葉県)
初夏の恋18の僕にできるのは大人のふりと笑わせること 加茂 昌平 (福井県)
白雪にあなたが残した足跡の上を踏みゆくあわきしあわせ 山田 美穂 (東京都)
君想い水平線の彼方まで十七歳はくつをとばした 小島 有紗 (広島県)
夕ご飯あなたの好きな鰤大根時計を見つめて愛を煮つめて 南川 富貴子 (福井県)
初めてのキスは真夏のルナパーク消えたガラスの靴はまぼろし 長峯 雄平 (東京都)
待っててねわたしの気持ちが咲くまでは三度めのデートひまわり畑 山﨑 マオ (福岡県)
夏過ぎて遠くなったね空と君冷たくなったよ風とてのひら 山田 奈都子 (三重県)
飲みかけのペットボトルを手渡されこの瞬間に君を飲み干す 竹内 照美 (広島県)
八時三八分三階の窓から探してる赤い自転車走ってくる君 児玉 美代子 (広島県)
会いたいとメール送れぬ淋しさに昼間の月の白さ重なる 荒井 紀恵 (石川県)
まぼろしのスパイス入手できましたそんなかんじで恋は始まる 佐々木真由美 (兵庫県)
きみという海で泳いでいたことを知った夕暮れ旅の終わりに 朝山 ひで子 (神奈川県)
すれ違い君と重なる刹那さえ甘酸っぱくて世界が揺れる 安井 千尋 (愛知県)
厚底の運動靴で栗の毬踏み付け別れ切り出さんとす 遠藤 桂子 (埼玉県)
あなたへと編んだマフラー抱き締める今年も鞄で年を越したね 萩 夏奈子 (奈良県)
ニュートンの林檎が落下したように抗えぬまま君へと落ちる 利光 美和 (大阪府)
書き順を律儀に守るきみにだけ一段飛びで口付けしたい 小林 千恵 (神奈川県)
トンネルの出口に湾はゆるく見え両手を広げ君の待ち居る 加藤 ゆみ子 (神奈川県)

学校賞

最優秀学校賞

福井県立武生商業高等学校

優秀学校賞

広島県立広島高等学校

学校奨励賞

福山市立福山高等学校

長崎女子高等学校

東京都立駒場高等学校

審査講評

最優秀賞・優秀賞 松平審査員長講評

秀逸その1 松平盟子審査員長講評

秀逸その2 松平盟子審査員長講評

佳作その1 香川ヒサ副審査員長講評

佳作その2 香川ヒサ副審査員長講評

学校賞 松平審査員長講評