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第 13 回(2010年)

入賞作品

学校賞

審査講評

入賞作品

最優秀賞

君のこと好きなんじゃない大好きだ月下美人が三輪開く 垣田 重樹 (京都府)

優秀賞

文庫帯きつめに結び七月のあなたと逢へりわれを騙せよ 磯部 葉子 (神奈川県)
君を待つ青い夜にはバスタブに潜りてそっと金魚になりぬ 阿部 香穂 (岩手県)
カナブンのたたみそこねた羽の紗をみており君の去りし街にて クリシュナ智子 (アメリカ)

秀逸

彼方とは遠くの人を想うことテーブルという川の向こうの 岩本 幸久 (広島県)
赤とんぼ指にとまれとはしゃぐ君後ろで僕はとんぼと見てる 佐々木 博之 (福井県)
にんじんをみじん切りするかのような規則正しい恋しています 松本 紗矢子 (大阪府)
入り口で名前を呼ばれて振り向いた突然キスした君に異議ありっ! 佐藤 のぞみ (島根県)
三人で夕日見ながらアイス食べ君の心がアイツにかたむく 富所 健太 (新潟県)
マフラーを二人で巻いたりしてた頃あの日から僕ら何を違えた 茨山 裕之 (福井県)
あと二年帰国せぬ君おもふ夜にボトルシップの海は満ちゆく 勝俣 文庫 (静岡県)
自販機のコーラごとりと落ちる時「結婚しよう」君の不意打ち 加藤 裕子 (千葉県)
好きという言葉を忘れかけているオウムに「好き」を詰め込んでいる 水谷 あづさ (奈良県)
認知症の妻との電車ごっこなりどこまでも二人降りることなく 石井 博幸 (福岡県)

佳作

薄れてく君の面影錆びついたブランコで蹴る砂の舞う空 河内 陽子 (広島県)
背に当たる煉瓦の壁は人肌で。待ち合わせまであと20分 加藤 千尋 (福岡県)
ふり向けば来し方すでに万華鏡少し惚けし妻いとしくて 辻井 康祐 (大阪府)
君からのすっぱい便り夏蜜柑あまい言葉をいれ忘れてる 市川 久美子 (長野県)
キーボード整然と打つその指にふれられてみたい図書室の午後 鳥海 (東京都)
君、つくえ 君、かばん、また君を見ておはよう、と言う今日のはじまり 平松 李奈 (宮崎県)
いつだって君の闇夜をてらしたいだって私の名前は月子 田中 月子 (福井県)
「貸してみて」そう言う君が私より上手に巻いてくだし巻き卵 晴香 (佐賀県)
雪だるま君と作った公園が工事車輌の駐車場になる 笠井 司 (新潟県)
君といて「楽しかった」が増えてゆくたとえば今夜雪ふる予感 渡部 育恵 (千葉県)
歯磨きを替えたばかりの違和感にどこか似ている新しい恋 杉本 裕 (長野県)
海色の糸編んでゆくセーターは我より亡母(はは)を恋ふきみのため 安西 洋子 (愛知県)
虫の音の果てゆくまでを聴いておりチーズケーキをふたつに分けて 西岡 徳江 (アメリカ)
指先が銀河に溶けて仕舞いそう手繋ぎ歩く真冬の夜道 水雪 夕 (兵庫県)
裡深く宝を埋めるごとく読む君の手紙を燃すと決めし日 三好 ゆふ (愛知県)

入選

自転車の左のペダル踏み外す君が背中に好きと書くから 井川 潤 (埼玉県)
君からのメールを待って居残りは事務所の明かりひとつ灯して 中野 弘樹 (埼玉県)
「好きです」と伝えたときの間抜け顔もっと見たくてぎゅっと抱きつく あい (福井県)
免許証や車のキーとごちゃまぜにそのポケットに私もいれて 野埜 百合 (大阪府)
気付いてた?雪の日君の足跡が音符に見えてはずむ私を 田中 奈美恵 (愛知県)
あの角を曲がれば君に会えるようなそんな気がしてだから曲がれず 宮崎 亮介 (宮崎県)
瓶の中閉じ込められた虫みたい恋に落ちると抜け出せないね 源 雪風 (埼玉県)
この花が凌霄花(のうぜんかずら)坂道を登りきったら伝えるきみに 佐藤 聖 (北海道)
かじかむ手あたためたのは私よりずっと冷たい不器用な手 吉田 里沙 (福井県)
父母がくれし我が名を呼ぶ君のみみたぶすこし染める夕やけ 門野 愛 (福井県)
プレゼントしたくて買った本二冊想いの分だけ日に焼けてゆく 大場 幸子 (福島県)
どうしよう今度の「好き」ははじめてだ地球の自転が止まったようだ 東里 こずえ (沖縄県)
聞こえてる?隣にいると流れ出す鼓動という名の恋の歌声 牧野 実咲 (熊本県)
すぐ横でクラリネットを吹く君が輝いていて譜面が見えぬ 島田 裕大 (東京都)
微分とか積分とかが分かるなら俺の気持ちも分かってくれよ 三宅 悠平 (岡山県)
冬空の大三角に見下ろされ手をあたためて想う君待つ 安部 晃司 (愛知県)
夕日差す君と一緒の帰り道鬼灯(ほおずき)の実の鼓動が響く 甲斐 和佳子 (埼玉県)
チャーシューメン髪をかき上げ食べる君スラリと指がきれいに見えた 遠山 瑞樹 (新潟県)
コンタクト入れて広がる視界からクリアに見えた素直な気持ち 渡邊 ひかる (新潟県)
「はやぶさ」の満身創痍に似つつわが燃えて帰らむ星は君なり 大津 留直 (福岡県)
くちづけに始まりくちづけに終わる驟雨(しゅうう)のような君との逢瀬 花戸 みき (神奈川県)
「苦労などしちゃいないよ」と笑む君の手のまめひとつふたつと数ふ 末永 瞳 (福岡県)
いつもそれが最期のことばになるような空港からのあなたのメール 平岡 淳子 (フランス)
タイ直すふりし手をやる首飾りシャツにひそめし吾の贈り物 小阪 亜矢子 (徳島県)
目薬をさそうとする手つかまれてそのままキスが降ってきました 斎藤 ようこ (千葉県)
君の目で光合成が出来たならどんな花にも私はなれる 中森 舞 (東京都)
縁側の朝の木目のやわらかにうかべるごとく愛しはじめぬ 河合 美由紀 (愛知県)
群青の水族館に包まれたイルカのような君を抱きたい 小川 莉奈 (茨城県)
秋晴れに君が忘れた傘がまだ濡れているあの雨が恋しい 佐藤 華菜 (神奈川県)
「幸福は銀のスプーンで掬うもの」曇りを磨けばあなたがうつる 櫻田 勢子 (秋田県)

学校賞

最優秀学校賞

東京学館新潟高等学校

優秀学校賞

福井県立武生商業高等学校

学校奨励賞

岡山県立倉敷青陵高等学校

宮崎県立宮崎西高等学校

愛知県立瑞陵高等学校

審査講評

最優秀賞・優秀賞 松平審査員長講評

秀逸 香川ヒサ副審査員長講評

学校賞 松平審査員長講評